あかいとり の 偽ソクラテスの弁明
wowowのドラマを流しながら,ぼくは別の景色を眺めていた。1998年の京都の風景だ。登場人物も当然別の人物だ。
映し出される景色の中にぼくらはいた。たぶん10月10日だった。数年ぶりに改札口を出たぼくにとって京都の町は新鮮だった。地下鉄が走った日だった。
物語はない。語るべき話はない。けれども,なつかしい街だ。あれから一度も足を踏み入れていない。
京都の範疇に,書き込まれている女の子が三人。おそらく三人だと思う。彼女たちの物語にも続きはない。