あかいとり の 偽ソクラテスの弁明
毎日,手紙を書いていた夏だ。ほぼ毎日,郵便受けには封筒が届いていた。
暑さも忘れる夏だった。感情に名前なんてないけれど,楽しかったのだ。
その夏の短い物語は,年を越えることはなかった。
けれど,長い長い物語だったのだ。